【背景】
穀物の摂取がGI(グライセミック・インデックス)に及ぼす因子の1つに粒度が報告されている。※1
大麦は麦ごはんとして粒の形態で食べられる場合が多いが、大麦粉を配合したパンのGIを調べた報告は少ない。そこで、粒度の異なる大麦粉を用いたパンのGIについて検討した。
【試験方法】
対象は健康な成人13人。試験食は以下の4つ。
①ブドウ糖液(50gのブドウ糖を水で溶解したもの、200ml):GS
②小麦粉食パン:WF
③高β-グルカン品種のビューファイバー(β-グルカン含有量10%)を高粒度で調整した大麦粉30%配合の食パン:LBF30%
④高β-グルカン品種のビューファイバー(β-グルカン含有量10%)を低粒度で調整した大麦粉30%配合の食パン:SBF30%
②~④は水200mlと同時に摂取。
試験食に含まれる食物繊維量は①0g、②2.1g、③6.4g、④6.6g。
試験はランダム化クロスオーバー法で実施。試験日の間隔は6日以上。試験前日の21時から当日の朝まで水以外の食物の摂取を禁じ、通常の活動以外の運動も制限。試験食は15分以内に完食し、摂取開始直前、15、30、45、60、90、120分後の7回、自己血糖測定を行った。試験の間は安静に過ごした。
【結果】
LBF30%とSBF30%はともにGSに比し血糖値のピークが有意に低かった。GIはWFが80.8±6.5、LBF30%が75.9±7.0、SBF30%が68.2±5.7で、WFに比べるとLBF30%とSBF30%のどちらも低い傾向にあった。LBF30%とSBF30%に有意差はなかったが、SBF30%のほうが血糖曲線下面積もGIも低かった。
【考察と結論】
大麦粉配合パンは、粒度にかかわらず血糖値の上昇を抑え、小麦パンよりもGIが低かった。これは大麦に含まれるβ-グルカンの作用によるものと考えられる。低粒度の大麦粉配合パンが低GIとなる傾向を示したのは、粘度の差異が影響した可能性がある。
【研究機関】
城西大学、農研機構次世代作物開発研究センター、大妻女子大学
※1 J Am Coll Nutr 19(3 Suppl),320S-325S,2000
粒度の異なる高β-グルカン大麦含有パンの摂取が食後血糖値に及ぼす影響
ルミナコイド研究 21, 1, 19-23, 2017