バーリーマックスのGIは24.3
日本人被験者で算出

【背景】
著者らは先行研究において、大麦の1品種「バーリーマックス」の摂取による内臓脂肪面積の有意な減少や、糖尿病に予防的に働く高分子アディポネクチンの血中レベルの上昇傾向を確認した。※1バーリーマックの摂取は糖尿病の発症リスクの低減に寄与すると考えられるが、日本人被験者におけるバーリーマックスの血糖応答に関する研究はない。本研究は日本人被験者を対象にバーリーマックスのGI(グライセミック・インデックス)を決定することを目的とした。

【方法】
対象は20~50歳の健康な日本人男女11人。ブドウ糖飲料150ml(ブドウ糖50gを含む)を試験食とする測定を2回、ゆでたバーリーマックス204g(利用可能な炭水化物量50g)と水300mlを試験食とする測定を1回行った。ウオッシュアウト期間は1週間以上とした。

空腹時血糖値は各試験の前に2回ずつ測定し、被験者は12~15分以内に試験食を摂取。食後血糖値は食後15分、30分、45分、60分、90分、120分に測定した。自己血糖測定器を用いたが、測定はクリニックのスタッフが行った。

【結果】
各試験後におけるベースラインからの血糖値の変化はグラフの通り。食後15分、30分、45分、60分、90分で、2回のブドウ糖飲料摂取後に比し、バーリーマックス摂取後の血糖値の上昇幅は有意に低かった。血糖上昇曲線下面積(iAUC)は2回のブドウ糖飲料摂取後がそれぞれ369.3(mmol min/L)、397.2(mmol min/L)、バーリーマックス摂取後が95.9(mmol min/L)で、これらの結果から算出したバーリーマックスのGIは24.3と低値だった。

血糖値の変化

【考察と結論】
バーリーマックスのGIが低いのは食物繊維やレジスタントスターチが豊富なためと考えられる。

大麦全般に含まれるβ-グルカンや、バーリーマックスに多く含まれるフルクタンの一種、イヌリンは血糖応答の改善に寄与していると考えられる。レジスタントスターチが血糖応答を低下させるメカニズムは明らかではないが、粘性のある水溶性食物繊維と同様に糖の吸収阻害に働く可能性がある。

これらの成分の相乗効果によって、バーリーマックスは他の大麦品種に比し血糖応答の改善作用が強いことが示唆された。バーリーマックスが、血糖応答の恒常性維持にかかわる短鎖脂肪酸の糞便排出量を増やすという著者らの先行研究もある。※2以上から、バーリーマックスは糖尿病の発症予防のための食事改善に役立つと考えられる。

【研究機関】
帝人

※1 Jpn Pharmacol Ther 46, 2099-110, 2018
※2 Jpn Pharmacol Ther 45, 1047-55, 2017


Glycemic index of boiled BARLEYmax® in healthy Japanese subjects
J Cereal Sci 93, 102959, 2020

2020年4月27日掲載