アジア圏で食される炭水化物の多い食品のGIとGLを測定
大麦3品目はいずれも低め

【背景】
アジア圏では炭水化物を多く含む食品の摂取が多いものの、それらのグライセミック・インデックス(GI)やグライセミック・ロード(GL)の値はよくわかっていない。また炭水化物の多い食品のGIは、消化性や含まれる栄養素、粒子サイズ、調理や加工法によって大きく異なる。

国際GI表のベースとなったGIに関する先行研究は主に西欧諸国で行われているため、アジア圏でよく食べられている食品のGIやGLを示すデータベースは少ない。本研究は、韓国でなじみ深い穀物、めん、パン、でんぷんの多い野菜などのGIやGLについて、調理法の違いによる差異まで含めた包括的なリストの作成を目的とした。

【方法】
試験食は穀物10種類、めん9種類、パンや穀物加工品13種類、でんぷんの多い野菜17種類の合計49種類。被験者は19~40歳でBMIが18.5以上23未満、空腹時血糖が100㎎/dL未満の健康な男女152人。ISO2010のプロトコル※1に従いGIの測定を行った。グルコースのGIを100とし、GIは低GI(55以下)、中GI(56~69)、高GI(70以上)に分類し、GLはGL=GI×典型的な1食分中の利用可能な炭水化物量(g)/100とした。※2

【結果】
試験食のうち、穀物、めん、パンや穀物加工品の計32種類のGIとGLを表に示す。穀物のGIは、蒸した大麦の35.4からもち米のおにぎりの96.9、GLは麦こがしの10.4から蒸したもち米のごはんの71.6まで幅があった。

麦こがしは蒸した大麦よりもGIが有意に高かった(P<0.05)。同じ「蒸す」という調理法でも、もち米のごはんは高GI、うるち米のごはんは中GI、蒸し大麦は低GIだった。



【考察と結論】
試験食のGIとGLは、食品の種類や調理方法により異なることを確認した。含まれるでんぷんの種類や食物繊維の含有量の影響が考えられる。たとえばもち米とうるち米ではアミロペクチンとアミロースの割合が異なる。利用可能な炭水化物のほとんどが消化吸収されやすいアミロペクチンで構成されるもち米のほうがうるち米よりも高GIだった。大麦は水溶性食物繊維のβ-グルカンの働きにより低GIになったと考えられる。

穀物のGIとGLの相関を図に示す。トック(韓国もち、棒状)と蒸し大麦は低GIでありながら高GLだった(注)。GIが低い食品でも1食あたりの血糖値の上げやすさまで考慮する必要がある。



(注)論文中に明確な記述はないが、Glycemic Index Foundation(www.gisymbol.com)は10以下を低GL、11~19を中GL、20以上を高GLと分類している。

※1 ISO 26642:2010. Switzerland:ISO
※2 Diabetes Care 31, 12, 2281–3, 2008


【研究機関】
キョンヒ大学(韓国)

Glycaemic indices and glycaemic loads of common Korean carbohydrate-rich foods
Br J Nutr 121, 4, 416-25, 2019

2019年4月23日掲載