コレステロールを原料に肝臓の中で作られて小腸に分泌される「胆汁酸」は、脂肪を吸収されやすい状態にする胆汁の成分。胆汁酸は一定量が肝臓と小腸の間で循環しているが、大麦に含まれる水溶性食物繊維「β-グルカン」が小腸で胆汁酸にくっつき、胆汁酸が再吸収されるのを抑え、体外への排出を促す。すると肝臓では、血液中からコレステロールをとり込んで新たに胆汁酸を作るから、血中コレステロール値が下がる。
さらに、β-グルカンが大腸内で腸内細菌のエサとなり(発酵)、酢酸やプロピオン酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」が生じる。短鎖脂肪酸には、肝臓でのコレステロール合成酵素の働きを阻害する作用がある。主にこれら2つの作用によって血中コレステロール値が下がる。
また、大麦を食べることによって糖の吸収が抑えられると、糖を筋肉や脂肪細胞へと運ぶホルモン「インスリン」の分泌量も少なくてすむ。インスリンには肝臓でのコレステロールの合成を促す作用もあるので、インスリンの分泌を“節約”できるのは、コレステロールの合成を抑えるのにも役立つと考えられる。