大麦と小麦、どちらもイネ科に属する穀物で、稲穂や実を見ただけでは大麦か小麦か区別できない人も多い。ただし性質は異なる。小麦に比べて大麦は吸水しやすいので炊飯に向いている。一方小麦は、弾力のもととなるたんぱく質の一種「グルテン」が多く含まれるという性質を生かし、主にパンやめん類の生地として用いられる。どちらも主食の材料ではあるが、大麦は粒のまま麦ごはんに、小麦は粉にしてパンやめん類に、と使い分けられてきた。もっとも近年では、加工技術の向上に伴い大麦の粉を利用したパンやめん類も出回っている。
小麦アレルギーの人は少なくないので大麦アレルギーが心配という人もいるだろう。小麦アレルギーの原因はグルテンとされる。大麦にはグルテンが含まれないが、グルテンに似た成分が含まれている。「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」(厚生労働科学研究班)には、「大麦やライ麦などの麦類と小麦は、交差抗原性(注)が知られている。しかしすべての麦類の除去が必要となることは少ない」とある。小麦アレルギーがある人は、大麦を食べてもいいか念のため医師に相談を。
(注)交差抗原性:アレルギーの原因になる成分と似た構造を持つ成分に反応してアレルギー症状がでること。交差抗原性には個人差がある。